考えたくないことですが、
社用車をぶつけてしまう、
納品する商品を運搬するときに車上荒らしに遭ってしまう、
電車の中に置き忘れてしまう、
という事故はゼロではありません。
その時、会社や社員はどういう対応すべきでしょうか。
基本的に、従業員が業務中にお客様に損害を与えてしまった時は、
使用者がその損害賠償の責任を負うことになっています。(民法715条1項)
ただ、今までの裁判例によると、
会社がお客様に支払った損害額は、
従業員もあとから会社に支払うなどして負担することもあります。
しかし、従業員の勤務態度や経済的状況を考慮して、
全額負担ということは「まず」ありません。
たとえば、従業員に明らかに重大な過失があっても
従業員の損害賠償負担額は損害額の2分の1という裁判例もあります。
(東京地裁平成6年9月7日判決)
業務上での出来事ですから、仕方ない、という解釈です。
また会社は、従業員に働いてもらって、売上を上げ、利益を出し、
その一部を従業員に給与として払っているのに
損害が出た場合だけ、全額従業員に負担させる
というのは、不公平だ、という考え方もありますね。
まずは、このようなことの無いように、
従業員には自分の取り扱っているものに対する責務を認識し、
充分注意してもらうよう意識を高める働きかけが必要です。